マーク・ドレラ先生に会いに行った

11月12日。人力飛行機ディスカッションと称する会があった。場所は東北大学
Daedalusという人力飛行機の世界最長飛行記録を持つ機体の設計者であるマークドレラ先生が東北大で行われた流体系の学会の特別招待講演のついでに、日本の人力飛行機業界の人が集まってマークドレラ先生を囲もうという会だった。
実際は東北大Windnauntsや金沢工業大学夢工房早稲田大学WASAやうち(Meister)の英語で30分程度の発表・質問などの後、懇親会を行った。

Meisterからは現役が英語発表するのは荷が重いということで、OBになって久しい自分が発表を行った。
人力飛行機の設計方法やMeisterではこうやって作っていますよということの紹介をした。
自分の中では神と崇めている設計者の前で設計方法のプレゼンをするなんて恥ずかしいと思いながら、現実は英語ができなさ過ぎて会話にならなかった笑

ドレラ先生に聞いた話

フェアリングの空気の入出流の考え方や主翼と胴体のつなげ方の話なんかを聞いて面白かった。
フェアリングの話はここに追記しておいた。
プロペラはどこの位置がいいのかって話ではどこでもそんなに変わらないのではないかとか、あと、ウィングレットの効果が中央部の曲げモーメントを変えなかったときに揚力分布から考えて誘導抗力が下がるなんて話とかとか、、、なんか色々聞いた気がするけど自分の中の英雄と会っているということで緊張してしまってだいぶ忘れてしまった笑
聞きたいことはたくさんあったけどあんまり聞けなかった。自分はもう人力飛行機作ることもなく、ファンとして見るぐらいだからまぁいいかとか思って見ていた。

発表内容


(英語が変なことは置いておいて)
大したこと発表してないんだけど、人力飛行機の設計では全体の要求があって空力設計の柱と強度設計の柱があって、それを両方で最適化しなければならないという話がメインだった。
空力設計は揚力線理論とか色々あって、それで計算してやる。強度設計は破壊強度を調べるのが肝心で、そこから運用方法を考えて安全率とか決めてやるとあとは複合材料の材料力学みたいな話があって計算できる。その空力・強度の設計時に、使用を広めているXFLR5などの翼型解析ソフト(元はドレラ先生開発のXFOIL!!)を使ってもろもろの値だったり、桁を通すための太さがあるのかの確認をする。
そして、両方の柱の最適化(どちらかだけでは意味が無い!)を行なってフィードバックを繰り返しつつ、要求を見直しつつ最適化をかけてやる。
人力飛行機パイロットの低出力側への要求は強いので、軽量で抗力の低いものが必要になってくる。なので最適化みたいなことが必要になってくる。そんななか、強度設計の方にも翼型は関係してくるし、空力最適と構造最適の単独ではなく、両方合わせた最適値に設計しましょう。
みたいなわかってる人には十二分にわかっている話だった。
もう少し具体的に書くと、揚力分布を空力最適な楕円分布に近づけるよりは曲げモーメントの減少を狙って中央部分に多めの揚力、翼端側では少なめの揚力にすると良い。ただし慣性モーメントとか揚力分布が変わってきて運動性が変わってきて、それの影響は別で評価する必要がある。あとフライングワイヤーを付けている機体だと強度(安全率)より剛性部分がボトルネックになりがちなので剛性部分の剛性確保の工夫で最適化する必要がある。


あとはMeister人力飛行機の作り方だけどそれはサークルホームページの方が詳しいからここではパス。

まとめ

ドレラ先生と会えて話せるだなんて嬉しすぎて舞い上がって会話にならなかった。ドレラ先生は日本の鳥人間コンテストを興味を持ってちゃんとチェックしているようで嬉しかった。
話は(英語だから全部は聞き取れていないけど)理路整然としていて話の組み立て方だけで頭の良さがわかるほどだった。
自分の中の英雄は会ってみても英雄のままだった。